それでこそ、俺の選んだ女だ。
そう言うと、堕ちていく過程にあってもあいつは微笑んだ。
抱き寄せて、「愛してる」を囁いても、あんな顔はしなかったのに。
判っているのか。自分が、今置かれている立場を。
「てめえの信念曲げるくらいなら死んだ方がましだね」
“まし”な方の選択をし、消え逝く途中だ。
判っているのか。死ぬという消え方を。
微笑んでる場合なんかじゃないだろう。
逝かないでくれ死なないでくれ俺を置いていかないでくれ
懇願する俺がポーカーフェイスの中で暴れているが、
それでも俺はただじっと、消え逝くあいつを見つめてた。
お前が選んだ、俺であるために。
だからお前も、笑いながら逝くんだろう。
この言葉を待っていたんだろう。
お前の望むものなら、全部やるから。
たとえ心を削ることになっても。
それでこそ、俺の選んだ女だ。