静かに上下する身体が唯一あたしを安心させる。
白い顔面も、ほんのり浮かぶ玉の汗も、緩く結ばれた唇も

貴方がもう起きてこないのではないかと、不安ばかりを煽って。

最近はようやく、優しい笑顔も甘い言葉も、あたしにふりかけてはくれるのだけれど
それでも彼の過去が消えないのは事実。

起きているときであっても、あたしの頬を触る手のひらが余りに冷たくて
いつも少しだけ、不安でどきどきする。

消えちゃわない?あたしを置いてったりしない?
自分で終わりを決めないでね
そん時はあたしも、連れてって。

身勝手な約束を心の中でする。

動かない彼に、いつもは彼からしてくれるその行為を
はじめて自分から行った。

予想通り、唇は冷たくて、やっぱり不安で、どきどきしたんだけど
その後、実は起きていた彼に身体をひかれて、彼の胸元に耳を寄せることになると
そこからは、あたしとは違うドキドキが聞こえて安心したんだ。

こんな弱気なあたしを見せるなんて嫌だったから
「エロじじい」
なんて、いつもみたく皮肉を言ったら
あたしの不安ごと彼が抱きしめてくれたから

黙ってそのまま身を任せたんだ。

 

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