「食べたのか」
皆大勢で歩いているのに、気付いたら隣にいる。それはいつものことだ。
無口で寡黙な割に、意外とこーゆーところがあるのだ。
「はい。おなか、いっぱいです」
返事をしても、彼は彼女のほうは見ない。
故に、周りからは会話している様には見えなくなっている。
「平均的にみて、お前は体が小さすぎる。よく食べるが良い」
「……別に大きくなりたいわけじゃないからいーです」
自分の小ささを指摘され、少しむくれた彼女の方を、やはり彼は向かず、
それでも小さく笑う
「……進さんは、大きい方がいいですか?」
「いや…」
集団の最後尾で回りに気付かれない様にひっそりと二人は立ち止まる
「小さいほうが、抱き易い」
さらりと言えば、彼女の顔が真っ赤になるのに気付く前に、彼は集団へ戻っていく。
置いてかれた彼女は小さくため息をついて、
それでも彼の方を見ずにはいられないのだ。