ぎこちなく彼の手が触れるのが判る。
こういうことに慣れてはいないのだ。
そんなの、私だってそうだけど。
きもちいい、っていうよりはいたい。でも、いたい、っていうよりはドキドキする。
だって、彼が私に触れているのだ。
そんなの多分、この世の誰も予想出来なかったことなのだ。
太陽と人が、恋をするようなものだから。

少しだけ彼の息が荒い。
「若、菜……」
“こはる”でいいのに、って思いながらも、
「…は、い?」
私も敬語でしか返せない。
「もう少し、筋肉をつけてみるべきだ」
彼の手の中にあるのは、山とも丘とも言い難い私の胸で
「!!!!!」
それは
「筋肉で出来るものじゃないんです!」
思わず叫んでしまって、彼の動きを止めた。

それは室温のせいなのか、それともこれらの行為に関連してなのか、彼の顔は赤く、
「すまん」
小さく謝罪はしていても、彼の顔がうっすらと笑っているのが判る。
「……ふふ」
さっきの自分の言葉を思い出して、思わず私もふいてしまった。
「無理だったら、ちゃんと言え」
さっきよりも幾分優しくなった手つきに、私はひどく安心する。
勿論、まだドキドキはのこっているけれども、
“太陽と人”はちょっと言い過ぎだったかな、と心の中で思った。

 

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